背景
とある製本関係の企業様からイベントの依頼がありました。2部構成のイベントの2部に折り紙教室をしてほしいということだったのですが、1部では製本に関するワークショップ的なことをするとのことでした。
せっかくなので、本に関する何か簡単なものを創作して講習でもしようかなとサークルメンバーと考えていたところ、案として出てきたのが「飛び出す絵本」でした。
中々面白い題材ですよね。
動かして遊ぶ折り紙は「羽ばたく鶴」とか「ピョンピョンがえる」とかありますが、「飛び出す絵本」はないでしょう(情報収集不足で他に作品例があったらすみません)。
(訂正:飛び出す絵本ありました。Jeremy Shafer氏が多数折っているそうです。本としては『Origami Pop-ups』があります。情報を提供して頂いたコマツさんありがとうございます。)
「飛び出す絵本」は幼い頃に何冊か読んでいましたが、特に印象に残っていたのが『恐竜時代』(作:ロバート・サブダ、マシュー・ラインハート、訳:わく はじめ、発行所:大日本絵画)でした。
この絵本のメインとも言える仕掛けが、飛び出して噛み付くティラノサウルスの頭部です。
インパクトがすごいので、幼い頃の私はそのページをパタパタしすぎて仕掛けを破壊してしまい、結局処分してしまいました。
そんな回想をしつつ本屋に行って改めて『恐竜時代』を手に取ると、思っていたよりティラノサウルスの仕掛けは複雑なものでした(よく見ると内側に紐が付いてたり)。
流石にこれを折り紙で再現するのは難しいし、人に教えられるものでもないので、もっと簡単な仕掛けにすることにしました。(この段階では折り紙初心者に教えられる作品を創作できると思っています。)
なんとありがたいことに、この本の出版社のサイトに簡易版の飛び出す恐竜が作れるキットのpdfをダウンロードできます↓
神かよ…
この構造を参考に進めて行きます。
折る前に
では、折る前に構想を練ります。
必要なパーツは
- ティラノサウルスの上顎
- ティラノサウルスの下顎
- 本の部分
構造としての条件は
- 顎の根元で変形する構造
- 本を閉じるとき平坦折り可能である
という感じですかね。
まず、最も大きな領域が必要なのは上顎と下顎でしょうね。
魚の基本形から鋭角の角をそれぞれ上顎と下顎にしましょう。
また、重要なのはそれぞれの顎は見開きの中央から生えているということです。
これらを踏まえたイメージは、
こんな感じ。
これでもうできたようなもんでしょ。
あとは、「長年の経験から来る勘」と「自分のセンス」を信じて、指の動くままに折っていくだけです。
試作の試作
↑立体化の基本構造はこんな感じです。
水色の線が立体的な折りになります。
↑折ってみたやつ
↑試作の試作を動かした動画
実際に動くので、もうこれでいいです(妥協)。
首の付け根は案外すんなりとまとまり、口の開閉機構も機能しています。
方針は問題なさそうですが、どうも頭の形がおかしいです。
明らかに領域が足りておらず作り込みが甘いため、「パクパク動くから頭だと認識できる」みたいな感じになっています。
今のままではティラノサウルス感は皆無と言っても良いので、改良は必須。
領域を追加しましょう。
(もう講習のことは考えていません笑)
長くなってきたので、記事を分割します。
次のパートに続きます(^^)/
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